1. TOP
  2. みんなの健康~お役立ち情報~
  3. 気になる病気
  4. 乳がん検診を受ける時の心構え

2022.02.09

気になる病気大人の病気

乳がん検診を受ける時の心構え

2020年2月発行 はっぴ~エコチルVol.12に掲載

乳がんの罹患率

 乳がん罹患率は年々増大し、乳がんになるのはかつて20人に1人といわれていましたが、今や14人に1人、12人に1人かかるといわれています。有名人が乳がんであることを告白しニュースになることも珍しくありません。この冊子を読んでいる皆さんの周囲にも乳がんの経験をされた人がいるかもしれません。
 ただし女性のがんの罹患数の1位は乳がんですが、死亡数では5位となっており、乳がんは適切に治療すれば治ることが多く早期発見が大切です。
 また乳癌は他の癌腫と異なり、比較的若い世代から罹患数が増加するという特徴があります。AYA世代という言葉をご存知でしょうか?(Adolescent and Young Adult, AYA)15歳から30歳前後の思春期・若年成人をさします。30歳代のAYA癌では乳癌が第1位を占めます。

マンモグラフィ

 乳がん検診は視診触診のみでは不十分でありマンモグラフィの併用が推奨されます。マンモグラフィ検査とは、乳房のX線撮影のことで、腫瘤や石灰化が確認できます。腫瘤とはマンモグラフィ上やや白くみえる塊で、良性のしこりのことも癌であることもあります。石灰化とは乳房の一部にカルシウムが沈着したものですが、これも良性でも悪性でもおこります。どのような腫瘤があるか、どのような石灰化があるか。それぞれの形状、分布によって5段階評価でカテゴリーをつけていきます。カテゴリー1:異常なし。カテゴリー2:良性、カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず。4:悪性の疑い。5:悪性となっています。検診で要精査となるのはカテゴリー3以上になります。マンモグラフィには弱点もあり、40歳未満の女性の場合、マンモグラフィではいわゆる高濃度乳房になり、しこりがあるかどうかわかりにくい場合があります。何故そのようになるかというと、乳腺は年齢とともに萎縮して行きますが、若年の場合乳腺がしっかりしているため、マンモグラフィでは真っ白にうつるため、腫瘤や石灰化がわかりにくくなるのです。

乳房超音波検査

 そのような場合には超音波検査が有効です。乳房に超音波を当て、その反射派を利用して画像を作ります。シコリの境目や境界部分の性状などで、良性なのか悪性なのかを判断します。授乳期の方は乳腺が発達しているためマンモグラフィでは高濃度に写り病変がわかりにくいのですが、超音波検査は腫瘤の検出力に優れているため授乳期の乳腺でも腫瘤描出可能です(ただ授乳期は乳腺の状態が異なるためできれば断乳後の検診をおすすめします)。
 ただし石灰化の検出力はマンモグラフィの方が超音波検査より優れているため、精密検査においては通常マンモグラフィ、乳腺超音検査の両方の検査を行います。ならば最初の検診からマンモグラフィと超音波検査を行えば良いのではないかと思うかもしれませんが、マンモグラフィに超音波検査を追加した場合、偽陽性が増える傾向にあります。

偽陽性・偽陰性

 検査にはどの検査でも偽陽性・偽陰性というものがあります。がん検診における偽陽性とは癌がないにも関わらず、検診で「陽性」と判定されるもの。偽陰性とは癌があるにもかかわらず、検査で「陰性」と判定されるものをいいます。偽陰性はもちろん困りますが、偽陽性も困ります。本来必要のない要精査になり、精神的負担となる点で、また場合によっては検査針を乳腺に穿刺する検査が必要になることもあり、不利益と考えられます。マンモグラフィ検診では見逃しを少なくするためにカテゴリー3以上が要精査となっていますが、その中には癌ではない人も多く含まれています。検診で要精査となり外来を受診される方はものすごく心配され来院されます。乳がんの人は早く見つかってよかったとなりますが、癌ではない紛らわしい良性病変の場合も多々あり、乳がん検診を受けてしまったがために心配ごとが増えるという自体になるわけです。とはいえ検診を受けずに腫瘤を自覚して初めて来院される場合、癌はすでに2cmくらいになっていることも多く(もともとの乳房の大きさによりますが腫瘤が触診でわかるのはおよそ2cmぐらいからです)、やはり早期発見のためには検診は必要です。また集中的に検診を受ければがんの予防になるわけではないため、定期的に乳癌検診(乳癌が急増する40歳以上は少なくとも2年に1回)を受け、検診と検診の間の期間は月1回ほどの自己検診を行うことが重要です。

自己検診

 閉経前の方は乳房のやわらかくなる月経終了後7日〜10日、閉経後の方の場合は月1回と日にちを決めて行いましょう。チェックポイントは乳房の変形や左右差はないか、しこりがないか、ひきつれやくぼみがないか、乳頭部のただれや乳頭からの出血がないかなどです。入浴前の鏡の前で両手を上げて確認し、入浴中に石鹸をつけて乳房を触知すると良いでしょう。乳房を触知するときには腕をあげ、手の先で渦を描くように触知し、腋窩リンパ節は腕の下げ脇の下に指先を揃えて差し入れ触知します。
 以上乳がん検診についてお話しさせていただきました。
 乳がん検診を受け問題なかった方はひとまず安心です。でもこれで終わりではありません。今後も定期的な検診を受けて下さい。要精査になった方、まずはゆっくり深呼吸しましょう。まだがんと決まったわけではありません。まずは精密検査機関実施機関できちんと検査を受けて下さい。

教えてくれたのは、
外科医  田嶋 裕子 先生

お問い合わせ

エコチルQ&A

PAGETOP