2022.01.01

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子宮頸がんの誤解

2019年2月発行 はっぴ~エコチルVol.15に掲載

子宮頸がん検診とは

「子宮頸がん検診」・・一度は聞いたことがあると思います。
妊娠初期の診察の時に勧められる検査ですから、「妊娠中に一度だけ受けた。」という方も多いと思います。子宮頸がん検診って、内診台にのって、1分程度で終わる簡単な検査ですが、進行子宮頸がんにかかる人、頸がんで亡くなってしまう人を減らせる、結構スゴイ検診なんです。日本では20歳以上では2年毎の検診が勧められています。子宮頸がんのピークは30代後半。20代から発症する人も増えていて、欧米では「マザーキラー(お母さん殺し)」なんて怖い別名もついています。乳癌のピンクリボン運動は有名ですが、子宮頸がんについても、4月9日を「子宮の日」として検診啓蒙活動をしたりして活動しています。

子宮頸がんの誤解

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因であることがわかっていますそして、このウイルスは、性的接触によって子宮頸部に感染します。

さて、この上の2行の文章は、日本産科婦人科学会の、一般の方に向けた子宮頸がんの説明文書からもってきました。産婦人科医の私がみても、まったくもって正しい文章です。が、この2文の知識を持った患者さんやその家族の人たちに、結構な誤解を与えてしまっていることがあります。

「子宮頸がんになったってことは、夫からウイルスをうつされたってことですよね!」

「たくさんの男性と経験したような人がなる病気なんですよね!」

「娘にはちゃんとした人としか付き合わないように教育しているから、子宮頸がんなんて怖くない。」

子宮頸がん検診を受けて、前がん病変(異形成)が見つかった患者さんや家族から、実際に聞いたことがあるセリフを並べてみました。こういうことを言うのは、病気についての知識を得ようと、ちゃんと勉強した方々なのですが、「ウイルス」「性的接触で感染」「原因」という文言によって、子宮頸がんを「性病」としてとらえてしまうことがあるようです。

確かに子宮頸がんになってしまった人を調べると、HPV感染があるのですが、同じHPV感染は、頸がんではない人にもよくある、ありふれた状態なのです。ありふれ過ぎたウイルスなので、このHPV感染という状態は、人生で一回でも性交渉をしたことがあるなら、過半数の人は経験済というもので、過半数の人が経験する状態を、「性病」扱いしても仕方がないし、ましてや「相手を選べばよい」とか、「感染させた男性が悪い」という話ではないのです。

がん検診のすすめ

HPVウイルスは、感染しても、90%の人はウイルスを自力で排除します。逆に追い出す力が弱くて持続感染をしてしまう人が10%程度います。ウイルス感染者の1-6%程度の人が、前がん病変をつくり、本当の子宮頸がん(浸潤癌)になる人は、感染者のたった0.1%です。そう言うと、めったになるものでもないから、検診なんて・・・と思うかもしれないですが、子宮頸がんは、浸潤癌になる前に治療すれば子宮が残せます。癌になっても、ごく初期に治療すれば完治する率が高いですが、進行、再発癌になると治療がとても難しくなります。完治のための治療をすることで、子供が産めなくなる、足がむくむなどの後遺症もあります。そして、進行癌になるまで、まったく無症状なのです。

人が愛し合って子どもを産むことはとても自然なことで、HPVワクチンが普及していない現在、子宮頸がんを予防するのは、定期的な子宮頸がん検診です。頸がんになることは、恥ずかしいことではないし、何より、自覚症状なく進んでしまう病気のせいで、「健康なお母さん」がいなくなってしまうことがないように、ちゃんと検診を受けましょう。

 

教えてくれたのは、
産婦人科医  植田 多恵子先生

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