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研究成果「エコチル調査で
わかったこと」

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血中金属 産業医科大学 前置胎盤 癒着胎盤

妊婦の血中金属類濃度と前置胎盤・癒着胎盤との関係(エコチル調査)

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研究の目的

前置胎盤や癒着胎盤は分娩時の大量出血の原因になることがあります。近年、妊娠期における環境中からの化学物質ばく露と前置胎盤・癒着胎盤(*)との関連性が指摘されていますが、現在までの国内外の研究においてはまだ十分に検討されていません。

そこで、エコチル調査の結果を用いて、環境中の化学物質のひとつである金属類の血中濃度と前置胎盤・癒着胎盤との関係を調べました。

このような大規模コホート調査の結果を用いて複数の金属類と前置胎盤・癒着胎盤との関係を検証した研究は世界で初めてであり、画期的な研究といえます。

前置胎盤とは 

 胎盤が正常より低い位置(膣に近い側)に付着してしまい、そのために胎盤が子宮の出口の一部または全部を覆っている状態をいいます。

癒着胎盤とは

 胎盤が母体の子宮に癒着して剥がれない状態をいいます。


使用したデータ:
妊婦約2万人の金属類の分析データを使用しています。解析対象者は単胎妊娠母親のうち、生産(死産を含まない)に限定しており、本論文に使用した最終解析対象者は17,414名です。解析には多変量ロジスティック回帰分析を使用しました。補正した因子は年齢、喫煙歴(本人、配偶者)、飲酒歴、妊娠回数、出産回数、子宮の手術歴、居住地域の8因子です。

血中金属類濃度:解析対象者を血中金属類濃度のレベルにより4つのグループ(金属類の濃度:低い、やや低い、やや高い、高い)に分けて解析しました。このとき、各グループの人数がおおよそ同数になるように各グループの金属類濃度のレベルを設定しました。

研究の結果

カドミウム: 濃度の低いグループと比べて、高いグループでは前置胎盤の 人が2.1倍多くいました
鉛: 濃度の低いグループと比べて、やや低いグループでは前置胎盤の人が2.6倍多くいました。しかしながら血中鉛濃度のやや高いグループ、高いグループでは低いグループと比べて統計学的に有意な関係はみられず、用量反応関係はありませんでした。
水銀、セレン、マンガン: 濃度と前置胎盤へのなりやすさには統計学的に有意な関係は認められませんでした

その他、血中金属類濃度(カドミウム、鉛、水銀、セレン、マンガン)と癒着胎盤へのなりやすさの間には統計学的に有意な関係は認められませんでした。

考察

〇今回の研究で、環境中の化学物質のうち、カドミウムおよび鉛と前置胎盤の発生とに関連があることが分かりました。

〇一般的には、たばこ、食品、大気、水、土壌等が金属類のばく露源として考えられますが、本研究では金属類のばく露源を特定することはできません。今後は、妊娠期においてどのような経路で金属類にばく露しているかについて調査研究が必要であると考えられます。

○本研究で血中濃度と前置胎盤・癒着胎盤と統計学的に有意な関係が認められなかった金属類のばく露が、必ずしも前置胎盤・癒着胎盤の発症に関係がないとは断定できません。

○エコチル調査では、金属類以外の環境因子、既往歴、社会経済的因子、精神的肉体的ストレス、さらには遺伝要因についても調べています。今後これらの因子と前置胎盤・癒着胎盤との関係についても知見が出てまいります。これらを総合して血中金属類濃度と前置胎盤・癒着胎盤の関係について検討する必要があります。

引き続き、子どもの成長や健康に影響を与える化学物質等の環境要因が明らかになることが期待されます。

結論

今回の研究で、環境中の化学物質のうち、カドミウムおよび鉛と前置胎盤の発生に関連があることが分かりました。

POINT

  • 妊娠中の血中金属類濃度と前置胎盤・癒着胎盤との関連を調査した
  • 血中のカドミウムと鉛濃度が高いと前置胎盤のリスクと関連していた

Q&A

胎盤ってみんなにあるものなの?

女性が妊娠することで子宮の内側に作られる臓器だから、妊娠することでできる臓器といえるわね。妊娠7週頃から作られ始めて、15週頃には完成するの。赤ちゃんの生命維持にとても大切な臓器なのよ。

妊娠することでできる臓器なんてあるんだね!

赤ちゃんとお母さんとをつなぐ臓器で、赤ちゃんに必要な栄養や酸素をお母さんから届けたり、赤ちゃんから出た老廃物や二酸化炭素をお母さんに届けたりするの。
そして、お母さんが妊娠を続けられるように必要なホルモンを分泌したりもするのよ。

胎盤にはたくさんの役割があるんだね!

そうね。胎盤には重要な役割があって、胎盤からのエキス(プラセンタエキス)の研究も多くされているよ。

通常は子宮の上部にあるんだけど、今回の研究で注目した前置胎盤となると、お母さんの子宮の出口を塞ぐから、帝王切開となる可能性もあるの。だから、妊娠中から胎盤の状況をしっかりと観察することが大切ね。

著者・雑誌掲載情報

この研究成果は衛生学の専門誌「Environmental Health and Preventive Medicine」に
2019年6月に掲載されました。

筆頭著者名:辻 真弓
所属UC名: 産業医科大学SUC

Associations between metal concentrations in whole blood and placenta previa and placenta accreta: the Japan Environment and Children’s Study (JECS)

DOI: 10.1186/s12199-019-0795-7

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