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研究成果「エコチル調査で
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妊婦の血中金属濃度と出生時の胎盤重量との関連

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研究の目的

この研究では、妊娠中のお母さんの血液に含まれるいくつかの金属(カドミウム、マンガン、セレン、鉛、水銀)が、赤ちゃんが生まれるときの胎盤(お母さんのお腹の中で赤ちゃんに栄養を送る大切な部分)の重さにどう影響するかを調べることを目的にしています。胎盤の重さは、赤ちゃんの健康や成長に関係があると考えられています。

研究の結果

カドミウム: お母さんの血液にカドミウムが多く含まれているグループでは、胎盤の重さが標準よりも重い ことが多く見られました。
マンガン: 同じように、血液中にマンガンが多いお母さんでも胎盤が重いことが多く見られました。
セレン: しかし、血液中にセレンが多く含まれているグループでは、胎盤が軽い傾向が見られました。
鉛と水銀: 鉛や水銀については、血液中の濃度と胎盤の重さの間に特に関係は見つかりませんでした。

考察

この研究では、お母さんの血液中に含まれる金属の種類によって胎盤の重さに違いが出ることが分かりました。カドミウムやマンガンが多いと胎盤が重くなり、セレンが多いと軽くなる傾向が見られました。一方で、鉛や水銀は胎盤の重さには特に影響がないようです。
この研究の限界としては、妊娠中のお母さんの健康状態や他の要因が考慮されていない点、金属同士がどのように影響し合うかを調べていない点が挙げられます。そのため、さらに詳しい研究が必要です。

結論

お母さんの血液中に含まれる金属の濃度によって、胎盤の重さが変わることが分かりました。カドミウムやマンガンが多いと胎盤が重く、セレンが多いと胎盤が軽くなる可能性がありますが、鉛や水銀は胎盤の重さに影響を与えないようです。この研究は、胎盤の重さが赤ちゃんの健康にどのように関わるかを考えるための手がかりとなるかもしれません。

POINT

  • 金属の種類や濃度で異なる
  • カドミウム、マンガン濃度高いと胎盤重量増
  • セレン高濃度で胎盤重量減

Q&A

どうやって血液に金属が入るの?

口から体の中に入ることが多いね
食べ物に含まれていたり、吸い込んだりすることで体内に取り込まれるんだよ

体の中に金属が入ると良くないの?

今回の研究でも解析した金属
カドミウム、鉛、水銀は、体内に大量に取り込むと有害になることが知られているよ
マンガン、セレンは、生命活動を維持するために必要な金属でもあるけれど、量が多すぎると有害になってしまうんだ

お母さんの血液の中の金属が赤ちゃんに影響するの?

これまでのエコチル調査の研究で、妊婦さんの血液の中の
カドミウム、鉛、セレンの濃度が高いと、生まれたときの子どもの身長や体重が小さくて、
マンガンの濃度が高いと身長体重が大きくなることもわかっているよ

胎盤って何? 人によって重さが違うの?

胎盤は、お母さんのお腹の中で赤ちゃんに栄養を送る大切な部分だよ
胎盤の重さは、赤ちゃんの健康や成長に関係があると考えられているよ
血液の中の金属に注目したこの研究は、見えない子宮の中の様子がもっとわかるきっかけになるかもしれないんだよ

著者・雑誌掲載情報

この研究成果は米国科学専門誌「Environment International」に
2024年6月に掲載されました。

筆頭著者名: 金城 泰幸
所属UC名: 産業医科大学SUC

Association of placental weight at birth with maternal whole blood concentration of heavy metals (cadmium, lead, mercury, selenium, and manganese): The Japan Environment and Children’s Study (JECS)

DOI: 10.1016/j.envint.2024.108725

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