2022.01.20

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「思春期早発症」

2021年7月発行 はっぴ~エコチルVol.15に掲載

思春期早発症とは

 思春期とは、こどもが成長しおとなになっていく過程で、心身ともに変化する時期のことで、男の子は男の子らしい体つきに、女の子は女の子らしい体つきに変化し、著しい身長の伸びを認める時期をさしています。
 思春期の始まりは、男女で違いがあります。男子はまず精巣(睾丸)が大きくなり、次に陰毛がはえ、最後に腋毛(わきげ)やひげがはえてきます。一方で、女子は胸が大きくなり、次に、陰毛、腋毛がはえ、最後に生理が始まります。胸が大きくなる前に、胸が痛い、というお子さんもいます。
 では、一般的に、何歳から思春期ははじまるのでしょうか?通常、女の子は10歳頃、男の子は12歳頃よりはっきりしますが、それが、2〜3年程度早く始まってしまうのが、思春期早発症(ししゅんきそうはつしょう)です。

体の変化

 女子は思春期に胸が大きくなり始めることから、何歳頃から思春期が始まったか比較的わかりやすいとされて いますが、中には元々体格がよいため胸が大きいのか、あるいは脂肪が多いため胸がでているように見えるのか 分からない場合もあります。ご自宅では他の思春期の兆しがないか、たまに本人に尋ねてみるのもよい方法だと 思います。
 一方で男子の思春期は精巣(=睾丸)が大きくなるところから始まるため、思春期が早く始まっても気づくのは 難しいです。イメージとして、思春期が始まる前の精巣はうずらの卵くらいです。金柑くらいの大きさになって いたら、思春期が少しずつはじまっていると判断してよいと思います。
 また男女問わず、にきびができはじめるのも一つの指標です。思春期になると、急激に身長が伸び始めます。 学校健診などでもらう成長曲線をつけてみたら、どこから身長が急激に伸び始めたかわかりやすいと思います。 一般的に身長が急激に伸び始めたところから20~30㎝くらいは身長が伸び、初潮を迎えると5㎝程度伸びて身長が とまります。

原因は?

 思春期早発症の原因は何でしょうか?一番多いのは、思春期をはじめよう!という頭からの指令がなんらかの 理由で早くでてしまうことです。頭のMRIをとって異常がない場合と、異常が見つかる場合があります。
異常(腫瘍など)が見つかった場合は、それに対する治療が必要になるケースもあります。思春期早発症と診断 されたとしても、全員に治療が必要なわけではありません。

こんな問題も

 思春期早発症になると、①はやく体が完成してしまうために、一時的に身長が伸びた後、小柄のままで身長が 止まってしまうこと、②幼い年齢で胸がおおきくなったり、生理などが出現するために、本人や周囲が戸惑う心 理社会的問題が起きたり、生理の対応がうまくできないことなど、主に2点が問題になります。

治療方法

 治療を行うかどうかは、その時の身長や周囲の環境なども含め総合的に決めます。残念ながら飲み薬がなく、 治療は毎月注射を病院で行います。中止のタイミングは年齢と身長をみながら決定しますが、他のお友達より思 春期を遅くする必要はないため、10~12歳頃に治療を終了することが多いです。また頭に異常(腫瘍など)が見つかった場合には、それに対する 治療(手術など)を行うこともあります。
 大きくなると一緒にお風呂に入る機会も減るため、体の変化に気づきにくくなります。たまにお子さんと体の 変化について話す機会をつくってみてもよいかもしれませんね。

教えてくれたのは、
小児科医 齋藤 玲子先生

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